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GPZ400R 中古エンジンを買った! 開けてみよ!!  ~その4~

さてちょっとずつですがこの中古エンジンを開け始めたのですが、少々引っかかる点が出てきました。

まず事前に「クラッチ」を分解して見たとき、このフリクションプレートが斜め溝タイプの物で、これはサービスマニュアルで見た「GPX400R(ZX400-F)」用のそれの様だったのです。

フリクションプレート

ん?私はついこの前「このエンジンはZX400-D3(’87、’88 GPZ400R)だ!」と断言してしまったばかりなのに急に不安になってきました。ここでおさらいするとこの「ZX400DE」系統のエンジンは大きく分けて2種類あり、(FX400R等を除いて言うと)前期が’85~’88 GPZ400R(ZX400-D1~D3)に搭載された物、後期が’87 GPX400R(ZX400-F)と、’89 GPZ400R(ZX400-D4)に搭載された物となります。後継機GPX登場後もGPZが併売され続けた関係で年式が被っていて複雑ですが、後期型はカムシャフト、ピストン、クランク等中身が大幅に変更された物です。以降「前期型」「後期型」と書くことにします。

この中古エンジンはピックアップコイル/ローターが「D4用」でないことは確かですが、これを前期型のそれに付け替えた、あるいはGPX400Rのエンジンの、エンジンカバーだけをGPZ用に替えた物の「後期型」で、それを前期型GPZ400Rに載せていた、という可能性もなくもなくはない訳です。(深読みしすぎ?)ちょっと素性調査が必要ですな。

カムシャフトが違う訳ですから、実機の「バルブタイミング」を計測すればこれは分かりそうですね。ま、全バラしてしまえばどっちこっち分かる事ですが、バルブタイミングには個人的に疑問点があって、それの調査も兼ねて、です。その疑問点とは「サービスマニュアルのバルタイの数値は、バルブ何mmリフト時のもの?」です。バルブが開き出す、閉じ切る瞬間の数値を読み取るのは困難なので、普通これは1mmとか0.何mmリフト時とかの数値が指示されているもんですよね? 書いてないんですよ、これが。カワサキの整備士なら言わずもがなだろ、という事なのでしょうが、当方素人なもので。

私はノーマルエンジンを組み立てたことがあるだけなのでこの計測は初めてやりました。四苦八苦しながらやったのですが、出てくる数値がめちゃくちゃで「サッパリ分からん」。0リフト時の数値ではどうやらなさそうですが、何mmリフトを当てはめてもしっくり収まりません。(0.1mmリフト時か???)もちろんバルブクリアランスは事前に調整したし、組み間違いがないかも確認しました。4気筒分全部測ったらこのバラツキもすごいです。「実際のエンジンってこんなもんなのか?」前期と後期のバルタイの差なんて微々たるものなのでこれではどっちかなんて分からないのです。

もうあきらめて数値だけ記録してカムシャフトを外してみました。そしたらなんと、ロッカーアームのスリッパー面がガジガジにかじってたのです!! カム外さないとここ見えないんですよね。それでバルタイおかしかったんだ・・・相手のカム山は割ときれいでカムジャーナルは異常ないのになんでこうなったんだろ。オイルが悪かったのか・・・謎です。

ロッカーアーム
分かりにくいですが・・・

ところでカムシャフトを外せば前期型と後期型の識別点がここにもあります。カムジャーナルの外径が、後期型は場所によって0.05mm太く仕上げられているのです。これはマイクロメーターで簡単に調べられますね。早速測ってみると・・・

「こいつ、後期型だぞお・・・」  次回に続く。