さあ意外や意外、この中古エンジンのカムシャフトは「後期型」でした! やっぱりそうだったか・・・まあ後期型なら後期型でもOKではあります。私も一時は後期型エンジンの入手を画策したことがあったくらいなので。
となるとこのシリンダーを外せば中から現れるのは、例の「コスワースタイプ」のイカした後期型ピストンのはずです! そこまで一気にバラしてみましょう!
が! 出てきたのはなんと紛れもない「前期型」のピストンじゃありませんか!! どゆこと?
ずいぶん一人相撲を取ったもんですがよく考えてみると、これはこういう事なのでしょう。この中古エンジンは当初の見立て通りZX400-D3の「前期型」である、と。カムとクラッチフリクションプレートは?? D3は同じ’87年型で、後期型エンジンを積んだGPX400Rと同時に売られていたバイクです。後期型のカムジャーナル径の変更は実際に出たトラブルへの対策に違いありませんから、同じ対策を同時に売っていたD3にも施していた、と考えるのはむしろ自然なことであります。サービスマニュアルにはそうだと書いてないのですが・・・。その他GPX用に新しく開発されたパーツのいくつかがこっそり投入されていたのでしょう。フリクションプレートしかりヘッドへのオイルパイプしかり。
・・・と、ここまで得意になってつらつら書いてきましたが、この辺のパーツの関係をもういっぺん調べてみました。パーツリストで部品番号を調べると・・・ありゃ?!D3はカムもクラッチも後期型と同じ部番じゃないか!! なんてことはない「こっそり」どころか堂々と変更していたんですね。D3オーナーなのに全く知らなかった・・・だっ、だってサービスマニュアルにはそれ全然書いてなかったんだもん!カムが変わってたら諸元表の数値だってホントは変わってるはずでしょ?! 斜め溝プレートの回転方向の指示もなんも書いてないしゴモゴモ・・・・
というわけでここに訂正いたします。「ZX400DE」系統のエンジンは、’85, ’86 GPZ400R(ZX400-D1, D2)が「前期型」、’87, ’88 GPZ400R(ZX400-D3)が前期型に後期型のカムとクラッチを組み合わせた「中期型」、’87 GPX400R(ZX400-F)と’89 GPZ400R(ZX400-D4)が「後期型」、としましょう。皆様ご迷惑をおかけしてすいませんでした・・・。
素性調査としてはこれで一応納得ですが、ロッカーアームがガジガジは参りました。部品取りのジャンクヘッドを持っているので何とかはなりますが。いや、よく見りゃカムシャフトもかなり痛いな。カムジャーナルもキャップ側は傷あるし。もしオイルが悪質でこうなったとしたら他の部分も心配になります。しかしシリンダー内径、ピストン外径など使える寸法に収まっていて一安心ではありました。でもますますロッカーアームが謎です。1か所じゃないですからね。ほぼ全部です。こういう形態は直押しDOHCより摩擦、摩耗は不利なことは確かなので”オイル管理”は特に大事、という事になるのでしょうか。
オイルと言えば”水”も大事です。このエンジンはウォーターポンプの中はほんと酷かったです。あまりにおぞましくて写真撮りませんでした(お食事中の方すいません)。これは全くもって「実動エンジン」とは言えませんな。中古エンジンに載せ替えよう、という方、最低でもウォーターポンプカバーだけは開けて中見た方がいいですよ! クーラントを全く換えないで放置、の水冷車はかなり多そうです。水経路が詰まって全損、になりかねません。