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GPZ400R 社外リヤショックを買う! ~その1~

突然ですが私のGPZ400Rに社外リヤショックを買ってしまいました。YSS社のMS456というモデルで、厳密にはGPZ600R用です。適合機種が違いますが、何とかなるだろう、ということで・・・。実は買ったと言ってもまだ商品は届いていません。かなり納期がかかるようです。でもまあブツが来る前にやることはたくさんあるし、記事に書く事もいくらでもあります。ここは大フライングで話を始めてしまいましょう!

私はノーマルのカヤバ製”セミエア式”リヤショックの事はかなり気に入っています。まあ減衰アジャスターは標準位置しか使えないので有って無いようなもんですが、乗ってて全然問題ない性能だし、エア圧で車高セッティングする仕掛けも面白くて活用できます。もっともこのエア圧調整がちょっと煩わしくはあるのですが・・・(乗る度にやってます)。しかしこのセミエア式ショックはこの時代のスポーツ車を象徴する装備であり、GPZによく似合います。気に入っているのならそのまま乗っていればいいんですが、これは基本的に”修理不可能品”で、当時物を騙し騙し使うしかない、というのが難点です。ここらで社外ショックをいじりたおすのもいい話のネタになるぞ、という下心もありまして購入に踏み切りました。

ノーマルリヤショック
これも捨てがたい”いい味”です。

私自身、サスセッティングは何かとても難解なものだと身構えていたところがあるのですが、GPZのシンプルな調整機構のノーマルサスをいじってみて少しサスセッティングの理解が進んだように思っています。この経験を生かして社外ショックのセッティングをなるべくシンプルに理屈を理解できる形で進めてみよう、というテーマで行ってみたいと思います。

まずサスペンションの役割は、大きく分けて二つあると考えています。第一はバイクの姿勢を適切に保つという役割で、前後それぞれの「車高」を適切にする、という事です。「適切なバイクの姿勢」とはそのバイクが最も調子よく、生き生きと動く感じがする車高の事で、これは運転してみた時の感じで決めます。尚、「車高調」という調整部位(リヤショックの全長調整やフロントフォークの突き出し調整)があるせいで、「車高」という用語がどういう意味で伝わっているかあやふやなところがあります。ここで言う「車高」は、ばね上、ばね下のそれぞれ任意の点の間の距離、ととらえて下さい。静的なこの距離はもちろん「車高調」でも変わりますが、スプリングのイニシャル(プリロード)調整でも変わります。動的にはサスの伸び縮みでも変わります。そういう意味での「車高」だと理解して下さい。

第二は路面の凹凸にタイヤを追従させて、タイヤを安定して路面に接地させ続けるという役割です。どんなハイグリップタイヤでも路面から飛び上がってしまったらグリップはゼロです。コーナリング中であれば「即転倒」の危険な状態なので、そうならないようにする、という事です。

この二つは全く別の役割ですが、この二つをどちらも満足させようとするのがサスセッティングの目的だと私は考えます。この二つ以外の妙な個別目的を入れない、というのもコツではないか? と思います。例えば「乗り心地をよくしたい」とか「俺は飛ばすからもっとレース寄りに」とか・・・。第二の役割を満たせば自ずと乗り心地はよくなるはずだし、第二の役割はタイヤのグリップ力に直接影響するのでレースでも重要なはずです。目的をシンプル化しましょう!

思えば私がノーマルサスでガチャガチャやっていたサスセッティングは、「初期エア加圧調整(≒イニシャル調整)」を、専ら「車高調整装置」ととらえていじってきた、つまり第一の役割の調整に使っていたという事になります。メーカーとしてもそういう風に使ってもらう事を意図していたはずでこれで良いと思いますが、厳密にはイニシャル調整は第二の役割にも影響を与えています。これは調整機構が限られているのでそれ以上いじりようがないのですが、ノーマルサスはメーカーががっつりテストしてその車両用にセッティングしてあるので、メーカー指定範囲を守っていればそれでも第二の役割が実用範囲を越えて大外しするようなことはないので大丈夫なのです。しかし社外サスではそういう数値にもよく注意していく必要があるでしょう。(またそういう細かい事ができる調整機構が網羅されている=上級者向き。)

次回からじわじわとやっていきます。どうぞよろしくお願いします。

 

※今回のまとめ※

 

サスペンションの2大役割

第一、バイクの姿勢(前後それぞれの車高)を適正にする。

第二、タイヤを路面の凹凸に追従させる。

 

サスセッティングの目的=2大役割をどちらも満たすようにする。