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GPZ400R 社外リヤショックを買う! ~その7~

いよいよ「減衰力」、ダンパーセッティングについて語る時が来てしまいました。まず減衰力の働きについて・・・あー、これは他で調べて下さい。と言いたいところですが、ここまで来たからにはやっぱ説明しましょう!

ばねの固有振動図

「もしも減衰力が無かったら」・・・ここにばね上荷重によって“1G”まで縮んだスプリングがあるとします。これにある荷重を加えたらさらに長さ“A”縮んだとします。加えた荷重を取り去ったらスプリングは“1G”まで伸びて止まる・・と思いきやそうはなりません。縮んだスプリングはばね上荷重+加えた荷重のエネルギーを貯えて伸び上がり、“1G”を飛び越えてさらに長さ“A”だけ伸びるのです。今度はそこからばね上荷重+“A”の位置エネルギーで縮み始め、“1G”を飛び越えて“A”まで縮み、そしてまた伸び・・・と、1Gを中心に長さ“A”の伸び縮みを永久に繰り返すのです。そこに何のロスも無いとするならば。

これを防ぎ、伸びるスプリングが一発で、かつ速やかに“1G”で止まるように、伸びるスピードに適度にブレーキをかけるのが伸側減衰の役割です。これが減衰力の最も大きな役割なので「伸側が減衰力の主役」と言われているのです。

では「圧側減衰」は? 上に書いた役割は圧側減衰が全く無くても果たせます。ではもしサスペンションに圧側減衰が無かったら? 100kg荷重が加わると50mm縮むスプリングがセットされたサスペンションならもちろん100kg加えれば50mm縮んで止まります。しかし実際には勢いを持ってそこまでスコーンと縮むため、50mmを飛び越えてもっと縮んでから50mmにポヨンと戻る、という動きになってしまいます。これを防ぐため縮むスピードにブレーキをかけるのが圧側減衰の役割です。

さて減衰力のセッティングで一番気を付けなければならないのは、「過減衰」ではないでしょうか? 伸側減衰が強すぎるとどうなるか。バイクが凸に乗り上げ、サスが縮みます。凸を乗り越えたらサスは素早く伸びてタイヤを路面に追従させなければなりません。過減衰だと素早くサスが伸び上がれないので凸を乗り越えた所でタイヤは路面を離れ、モトクロスの如くジャンプしてしまうでしょう。やっぱりこれもグリップゼロ、「コーナリング中だったらコケる」状態な訳です。

また伸側が強すぎると、凸で縮んだサスが伸び上がる前にまた次の凸を拾って縮み・・・を繰り返してどんどん車高が下がってきてしまいます。スプリング設定が適切なのにサスが底づく、ということも起こるのです。圧側が過減衰だったら逆にどんどん車高が上がっていって伸び切りやすくなる、となるでしょうか。それ以前にゴツゴツと酷く乗り心地が悪い感じがするはずです。

減衰力の働きはサスペンションにとってなくてはならない大事なものですが、「動いてナンボ」のサスにとって、サスの動きを止めに行っている減衰力は「猛毒」でもあるのです。くれぐれも「過剰摂取」には注意しましょう! 悪いことに明らかに過減衰なのに、これを「バイクの挙動が安定して良くなった!」と感じてしまうことが多いのです。

 

 

※今回のまとめ※

 

減衰力は、スプリングが勝手に伸び縮みし続けるのを止める「ブレーキ」。

 

ノーサスの3大要因、その3「過減衰」。