前回まで3回にわたってキースター燃調キットを使ったキャブセッティングのお話を書きましたが、さらにしつこく追補版をもう一回やります!
ひとまずセッティングを完成させたところで振り返ってみると、私がやった事は太いジェットニードル”L”に替える→それでは薄いのでワッシャー積んだりパイロットジェット上げたりして補った、となります。まてよ、それぢゃあ元々の一段細いニードル”S”使ってりゃ良かったんじゃね? という疑問が当然浮かんできます。
もっとも元々のセッティングには例の「高所で2000回転ボコつく」の問題があったのですが、4thステップ時にやったようにパイロットスクリューを絞って対処すれば良かったのでは、と思えるのです。4thステップの時はたった1/8回転締めただけで意外なほど効果がありました。
実はこれ、書かなかったのですが事前に一回やってみているのです。パイロットジェット ”L”#34、パイロットスクリュー(PS) 2 1/2回転戻しだったのを、PS 2 1/4戻しに絞って乗ってみたのですが、「2000回転問題」はそのまま変わらなかったのです。さらにもっと絞れば効果があったかもしれませんが、前回書いた通りアイドリング時の燃調が大幅に狂うのを嫌ってそれはやりませんでした。「アイドリング時なんて無視すりゃいいじゃねえか」とレーシーなマインドの方はおっしゃるかもしれませんが、それでは何のためにキャブレターに何系統も通路が設けられているのか意味が無くなってしまうし、2サイクルなら最悪焼き付くこともあり得る危険な考え方のように思います。もちろんGPZ400Rは4サイクル車ですが。
しかしここで気が付くのは”パイロットスクリューの特性”のようなものがあるんじゃないか? という事です。1 3/4戻しから1/8回転締めたら大きく変わったのに、2 1/2戻しから1/4回転締めてもあまり変わらなかったのです。どうも”全締め”近くの方が変更の効果が大きいのではないか? と思ったのです。
ある機材をいじり込んでるうちに、その機材のクセらしきものに気付く時があります。「経験的にそう思う」というだけで裏付けがあるわけではないのですが。クセと言えば2000回転付近でドバッとやや過剰に噴き出すのもセッティングうんぬんというよりCVK(ノーマルキャブの形式名)固有のクセかもしれないし、ノーマルキャブの割には標高差に敏感なのもそうかもしれません。あと、このキャブには「ドンつき」もあります。セッティング変更の過程でもこれが消える事はありませんでした。もっともこのキャブは”30年選手”で各部の摩耗も進んでいるでしょうから、これらはそのせいで出ている不具合かもしれません。
そういえばカワサキが早くも空冷時代からフラットバルブのCVKを使い始めているのに対して、ホンダが市販車にフラットバルブキャブを付け始めたのは400クラスでいうと90年代以降とかなり慎重でした。短いベンチュリー長とバキュームピストン底部の高負圧で鋭いレスポンスが得られる、というフラットバルブですが、上記のようないろいろな弱点もあったのかもしれず、それがホンダの慎重姿勢につながったのでは、と勝手に想像しています。同じケイヒンを使うメーカーなのに対照的なのが面白いです。