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GPZ400R キースター燃調キットを試す! ~その2~

というわけで、私のGPZにキースター燃調キットを組み込むことができました。現状すべてスタンダードの”S”を組んでとりあえず楽しく乗っているだけなのですが、今回はこのキットのもう一つの側面である”キャブレターセッティングキット”としての特徴を掘り下げてみようと思います。

燃調キット

このキットはジェット類の番数の飛び方が独自の物です。ケイヒンの純正には無い番数でセットが組まれています。4種のジェットニードル(JN)もストレート径違いで4種類とかではなく、ストレート径もテーパー角も違うものが4種類のセットです。これは「1ステップで空燃比が1変わるように」、という基準で設定されているためだそうです。JNとメインジェット(MJ)をセットで1ステップ動かすと、中高開度域(CVキャブは”中高回転域”と言った方がむしろ正確か?)まとめて空燃比が1変わる、という基準を満たすためのストレート径やテーパー角、MJの番数の設定、と理解すれば良いのでしょう。

FCRのマニュアルをはじめ、キャブセッティングの教科書では「低開度域から高開度域へ、下から順番にベストセッティングを出してから上へ進むように」と説かれています。キースターは中高開度まとめて、とか全域まとめて振る的な使い方を想定しているような所があり、そういう意味では教科書に反している面がある様にも思えますが、”ノーマルキャブをチューニングエンジンに合わせる”といった場面では「エンジンがより濃いガスを欲しているなら、全域均等に濃くしたものが良く合うはずだ」というような理論なり経験則なりがあってのことかもしれません。

よく考えるとこの全域均等に濃く、薄くというのはノーマルキャブでは望んでもできない事でした。MJやパイロットジェット(PJ)は番数違いが純正部品でも取れるのでいいとして、JNの番数違いというのは無く、ノーマルを使うより他はなかったからです。結局JNが如何ともしがたいので「いっそFCR」となった人もたくさんいたでしょう。その点でこの燃調キットが画期的な商品であることは間違いないです。

”1ステップ空燃比1”を実際のセッティングでどう活用するか、とか考えると分からなくなってきますが、ここは難しく考えないで「全域で濃くも薄くもできるこのキットを使えば、必ずや全域グッドなセッティングを完成させられますよ」的に捉えればいいんじゃないでしょうか。このキットを用いて教科書通りの「下から積み上げる」式のセッティングを施しても何ら問題はないようにも思いますし、乗ってみて「薄い」と感じたらとりあえず全部濃く振ってから細部を詰めるというやり方もあるのかもしれません。ただし、PJを変えたらその都度パイロットスクリュー(PS)の調整はやり直しになります(PSが調節してるのはPJ経由のガソリンとエアのミクスチャーの吐出量なので。したがって一番低開度域を担当しているのはPSですが、ここはPJの方を先に決める)。PJは上の開度域の燃調にも影響している、という事も考え合わせると、やはりPJは一番最初に決めてしまった方がいいと思います。