エア加圧バルブ付きショック、これも最近お目にかからなくなった装備です。GPZ400Rにはこれが前後に付いてます。(D3まで)
セミエアサスと呼ぶ人もいますが、バイクのテレスコピックフロントフォークはみんなセミエアサスで(フルエアサスってのもあるか)エアスプリングに大幅に頼っています。初期エア加圧をセッティング要素として利用しようとするか、はなっからそれは考えないか、という違いだけです。
リヤは、普通のショックユニットがガス反力があるとはいえそれをスプリングとして利用しているとまでは言えず、(ロッドの進入分はわずかな体積だし、そもそもそのために入っているガスではないので)対してGPZのそれは完全にセミエアサスです。
初期エア加圧とは“エアスプリングのプリロード”なので、その通りイニシャルアジャスター感覚で使えばいいのだと思います。ちなみにフロントフォークの油面変更は“エアスプリングのばねレート変更”に当たるので初期加圧とは別物です。「プリロード」「イニシャル」はバイク用語としては同じ意味です。「イニシャル」は英語圏では通じないそうですが日本語圏では通じるのでここでは80’s感覚で「イニシャル」と言ってしまいましょう。
エアポンプとエアゲージでイニシャル変えられんだからいいじゃん! と思ったものの、やってみるとこれがかなり難しいのに気付かされました。空気室の容積が小さいため、タイヤ感覚でエアゲージでちょっとだけ抜こうとするといきなりゼロ! ってなってしまうのです。「これが廃れた理由かよ」と思った程です。
結局私がやっているのは、まずバルブを押して空気を抜いてから、コンプレッサーのエアをレギュレーターで望みの空気圧に調圧してエアチャックでシュッと吹き込んで終了、という方法です。これなら簡単だし、十分な再現性があるはずです。まぁうちは工場設備としてこういうものが元々あるので出来るんですが、一般ユーザーさんでコンプレッサーを持っている人も少ないでしょうからこれは悩ましいところです。レギュレーターは7,000円前後で買えると思います。
この調整は0G、すなわちバイクをバネ上でジャッキアップしてサスが自然に伸び切った状態でやることになっています。いわゆるレーシングスタンドではリヤは0Gにならないので、このバイクはセンタースタンドを外さない方がいいと思います。さもないと調整作業がとても面倒になります。何しろ空気室の容積が小さいので、放っておけばタイヤ以上に内圧は狂うでしょう。この調整はまめにやった方がいいです。(これも廃れた理由か?)
注意点としては、ショックに空気を入れる時、決してコンプレッサーのエアを直に入れてはいけない、ということです。高圧をかけすぎると壊れるそうです。あと、リヤショックから空気を抜くとき、いっしょに少量のオイルが噴き出すのが気になります。(油面が下がっちゃう!)私はなるべくそっとバルブを押すようにしています。