• 静岡県沼津市のバイク特注カスタムパーツ製作工場。GPZ400Rパーツ販売中。

GPZ400R フロントワイドリムをテスト! ~その2~

さて、秤を買ってきたので事後報告となりますが前回の2本のホイールの重さを測ってみました! GPZ400R用のフロントホイールが5.2kg、GPZ1000RX用が6.15kgと出ました。共にホイールベアリング、インナーカラー込みです。なんと1000RX用の方が約1kgも重かったのです。これだけ重量差があると前回のようなインプレになるのも納得ですな。

ばね秤
買ってきた秤とはこれ、「ばね秤」です。この道具を使っていると、原始的に見えるのでしょうか、ひどくバカにして来る人がいますがそれは素人考えだ、と申し上げておきます! これはれっきとした計測器具で、便利に使える道具です。

2.50-16のリムサイズで、もっと軽いホイールがあったら最高なのに・・・と都合のいい事を考えていたら、それらしいものを私は見つけてしまったのです。御紹介しましょう、それが今回のネタ、GPX750R用フロントホイールです!! もちろん買ってしまいました。基本デザインは踏襲しながらも、見るからに細部をブラッシュアップしたかのようなその外観、期待は目一杯膨らみます。

GPXフロントホイール
これがGPX750Rフロントホイールです!

早速重さを測ってみましょう。5.0kg! きました、GPZ400R用並どころかもっと軽いです! 各部寸法は・・・ディスク取付面の左右幅は同じです。アクスル径も同じΦ15、ホイールベアリング位置は左は同じですからメーターギヤ周りはそのまま行けるでしょう。右はGPX750R用の方が4mm内側にあります。なので4mm長い右ホイールカラーを作る必要があります。が、これはもくろみ通り小加工でGPZ400Rに装着できそうだぞ、とニヤけましたがぬか喜びもここまででした・・・

なんと、ディスク取付ボルトのピッチ円径(PCD)が全然違うのです。ガビーン、やってしまいました。写真で見た時に「あ゛ー、6穴でいっしょだー」と勝手に思い込んでしまったのです。GPZ400Rはディスク内径Φ130、PCDΦ150に対してGPX750RはそれぞれΦ160、Φ180と大幅に拡大されていたのです。

Fホイール比較
並べて比べれば一目瞭然・・・(左:GPX750R、右:GPZ1000RX)

慌てていろんな写真を見比べてみると、どうやらこの”新PCD”はGPXシリーズ3兄弟の他はZX-10がそうかな?という位で極めて採用機種が少ない物のようです。恐らくその後も様々な機種に展開しようと目論んだのでしょうが、丁度同じ時期に「市販車にもフローティングディスクを装備ブーム」が起こり、それに対応できる寸法でなく、あえなく廃止となったのでは、と推測します。(嗚呼、GPX・・)あまりにレアサイズなため社外ディスクもざっと調べた限り出ていません。純正ディスクも販売終了です。

さあ、困りました。でも気を取り直して考えてみましょう。GPX750RのディスクはΦ270、板厚t5の様です。GPZ400Rは板厚t4で違う、の他GPXにはディスクガスケットが入らないのでディスク取付位置がガスケットの厚さ分内側になる、という点に留意が必要ですが、Φ270はD3までのGPZ400Rと同じです。ノーマルの片押しキャリパーを使うならGPX750R純正フロントホイールとディスクをセットでGPZ400R D1~D3に移植することは出来る可能性は高いです(右ホイールカラーを作れば)。ただし、上記の理由によりそのディスクがすり減ったらそこで「終わり」となります。

尚、ブレンボ4ポッドを装着する場合GPXのディスクはパッド当たり幅が狭いのでは? という危惧があります。検証するとパッド当たり幅以前にブレンボのキャリパーボディと拡大されたホイールハブが当たってしまいΦ270は全然無理、Φ280でもぎりぎりアウト、ということが判明いたしました。ブレンボキャリパーブラケットキットを大々的に販売している弊社としては大変痛い事実であります・・・。

しかしここまで分かってもなお、私には「残念」とか「悔しい」以上に「GPXすげぇな」という感情が沸々と湧き上がってきました。何しろこのホイール、単体でもナローリムのGPZ400R用より軽いのです。大径PCDの効果でディスクとのセットでさらに軽量化が見込めるというスグレモノです。GPXシリーズとはこの様な攻めた軽量設計が施されたすごいバイクだったのです。(なのに不人気車、嗚呼GPX・・)

何もこのホイールが全く装着不可能というわけでは無いのです。ディスクやらキャリパーサポートやらにふんだんにワンオフパーツを投入すれば使えます。それをするのが私の本業でもあります。2.50リムがどんなもんかはすでにテスト済みですから、これは私にとって成功が約束された、外しっこないカスタムだと言えます。考え方は人それぞれですが、お金をかける価値はあるでしょう。その日が来るまでこのホイールは宝物庫にしまっておいて、私はとりあえずノーマルホイールに戻して乗ることにします。