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GPZ400R 社外リヤショックを買う! ~その12~

さて、このやけに短いホイールトラベルで、それでも何とかセッティングをまとめるにはどうしたらいいか? というテーマで今回は行きまーーす。

40mm取ってあった乗車1G沈下量=リバウンドストロークを30mmに削減して、少しでも縮む方向のストロークを稼ぐ、という方向でリセッティングします。確かに良く考えるとバンプラバーに当たるまでのホイールトラベルが70mm足らずの中で40mmリバウンドストロークに充てるというのは割合としては大きすぎるかもしれません。

方法はイニシャルを増やして乗車1G沈下量を30mmにセットして、それによって上がってしまった乗車1G車高を“車高調”を縮めて元の高さに戻す、となります(作業手順としては先に車高調で10mm落とす、の方が良いかと)。車高調±0、イニシャル18.5mmでこの位になりました。(申し遅れましたが私の体重は・・70kgです)

結論から言うとこのセッティングでもバンプラバーに当たってしまいます。これでは「わずかでもいいので“残ストローク”を出したい」という目標に届いていないので、早々に放棄していよいよ「ばねレートアップ」を画策しました・・・(YSS標準75N/mm。)

しかし“ホイールトラベル不足”が問題の本質なのに、急場しのぎのお試しのためにわざわざ新たにスプリングを買う気には私はなれません。が、私の死蔵品にオーリンズの95N/mmのスプリングがあったのです! これを装着してみましょう!

セッティングは車高調±0、イニシャル11.5mmです。(乗車1G沈下量30mm狙いは変わらず。)

オーリンズばね
黄色いばね・・・いやー、後生大事に持っていればいつか役に立つ日が来ます! 苦手な言葉「断捨離」。

残ストロークが出ました! ダンパーロッドの所でバンプラバーまで4mm位です。このホイールトラベル量ではちょうどいいばねレートといった所でしょうか? しかしここまでホイールトラベルが短いと今度はその4mmがもったいなく思えてきます。バンプラバーの「つぶれ代」を残ストロークと考え、わずかにバンプラバーにタッチする位を狙う、もうちょっと低めのばねレートでもいいかもしれません。(80N/mm、イニシャル16.5mm、あるいは85N/mm、イニシャル14.5mm位)

矛盾して聞こえたかもしれませんが、同じバンプラバータッチでも「分かんないけど当たっちゃってる」のと「狙って当てに行ってる」のでは全然違うのです。「分かんないけど当たっちゃってる」ではそれが軽くタッチしてるだけなのか、グイッとめり込んで底づきしてるのかが分からないので「まだ大丈夫」なのか「もうヤバい」のか判別できません(“データロガー”でもない限り)。95N/mmで残ストロークが出たことによって初めて最大荷重値がだいたい分かるようになったので、今度は計算で軽くタッチを狙う、といったことができるようになったのです。

ばね選定グラフ
95N/mm、残ストバンプラバーまで4mm、を根拠に適切ばねレートを考えるの図。ご興味ある方はご覧ください。

95N/mmイニシャル11.5mmの乗り味はとても硬い感じで、ギャップでポンポン飛び跳ねがちな、極端に言うとまるでレーシングカーのようなアシです。しかしこれはこれで酷く間違った回答だとは思わないし、常時バンプラバーにめり込んで・・・よりはいいだろう、というのが私の考えです。正直、この状態が「ノーマルより良い」とは思えませんが・・・“ホイールトラベルが短い”という前提でまとめようとすると、こういうセッティングを選ばざるを得ないのです。

ところでYSSがこのような短いストロークに設定したのはなぜでしょうか。もしかすると乗り心地重視でソフトなスプリングを使いつつ、バンプラバーを“疑似的な2段レートスプリング”として使い、ばねレートを立ち上げる、つまりバンプラバーにブチ当てるのを前提とした考えなのかもしれません。確かにソフトなスプリングで長いストロークをフルに使うような設定にすると、姿勢変化が大き過ぎて(Gがかかるコーナーなほど)動的にリヤが低い、曲がらないバイクになってしまう、ということは考えられます。姿勢変化を抑える一つのやり方、という訳です。コイルスプリングで高めのばねレートにすると、GPZのノーマル「セミエアサス」に比べて硬い乗り心地になるでしょうから、それを嫌ってこういう「裏ワザ」を使ったのかもしれません。

しかし「バンプラバーの積極利用」はおそらく2輪界では一般的ではない考え方でしょうし、もしこの状態ででかい凸を踏んだら・・・と思うとちょっと怖いです。それをやるなら丈の長いバンプラバーを入れればいいものを、何もストロークを詰めなくても・・・。やはり公道バイクとしては不意に大きな凸を踏んだ時の「縮み代」として残ストロークを残す、つまり長いストロークにしつつ、フルには使わない、という方がいいんじゃないか? と私は考えるのです。

何より「公道はバンピーだぞお!」「危ないぞお!」と散々吹聴してきた張本人の、乗ってるバイクがホイールトラベル100mm以下とはちょっとカッコがつかんぞ、と思ってしまうのです。

 

 

※今回のまとめ※

 

「短いアシ」は、ガチガチにセッティングしてまとめるしかない!!