さて、前回の続きです。2000回転付近が濃いのを直したい、だからジェットニードル(JN)を1段薄い”L”に替えてみよう、という作戦です。JNはその以前から”S”に0.5mm厚のワッシャーを1枚入れて使っていたので、ワッシャーはそのまま入れて組み、走ってみます。問題の症状については件の高地に乗って行かないと分からないのでとりあえず置いておいて、全体の様子をみましょう。3000~6000回転のツキは良く、加速もいいです。しかし7000~9000位でトルクの谷が出ました。10000以上は回りがよく、いい感じです。
キースターのJNは1段薄いのを選ぶとストレート径が太くなるだけでなくテーパー角も緩くなる、という特徴があるので、テーパー角のセッティング領域が薄くなり過ぎた、ということでしょう。メインジェット(MJ)の領域もそれに引っ張られて少し薄くなっているはずですが、こちらはかえって薄くなって良くなった、ということでしょうか。キースターではストレート径とテーパー角はセットで変わるので、それに伴う不具合は「領域のオーバーラップ」を利用して、他のセッティング要素でカバーするような工夫が必要なように思いました。だからといってそれではマズい、という事はないでしょう。細かい事を言い出したらセッティングアイテムを膨大に増やさなければならなくなります。最終的にはこの仕様でも全域不具合ないセッティングは完成させられるだろうと思っています。
ところで3000~6000も良いとはいえ何かちょっとトゲトゲしい感じがします。振動が多く騒音が大きくなったようです。こちらももうほんのちょっとだけ濃くすれば良くなりそうです。というわけで2ndステップは3000~6000対策でパイロットジェット(PJ)を1段濃い”S”(#35)に、パイロットスクリュー(PS)はそれに合わせて調整した(アイドリング時の調子をみて合わせる)2 1/4回転戻しに、7000~9000対策としてJNワッシャーを2枚に変更します。ワッシャーを積むとJNの位置が持ち上がり、ストレート部からテーパー部に切り替わるタイミングが早くなります。そこ以降メインジェット(MJ)領域手前まで平行移動的に濃くなります。
この仕様は3000~6000はあまり変わらなかったです。7000~9000は「グッド」です! MJの事はとりあえずほっときましょう。これは最後に合わせればいいです。3rdステップではさらにPJを”RR”(#38)に、PSを1 3/4戻しに替えます。パイロット系のポート(バタフライバルブ下の複数の小穴)からは低開度だけでなく全開域まで吐出が続くので、PJは全開度の燃調に影響します。それを利用してJNのストレート径領域に味付けをしよう、という作戦です。キースターのPJには”R”の設定が無い(PS調整で補えるから、という事らしい)ので、一気に”RR”となります。
これは3000~6000がかなり変わりました。「変わりすぎた」と言ってもいい位です。7000~9000も同時に濃くなっているはずですが、こっちでも良い、と思えます。さて、「変わりすぎ」を直すにはどうしたら良いでしょうか? PJには中間の”R”が無いのです。ケイヒンの純正にも#35と#38の間はありません。これ以上の微調整はPSを使うしか無さそうです・・・。
と、経過を全部文章にするとえらく長文になってしまいますな。(やれやれ)次回でまとめたいと思います。
ここまでのセッティング
PJ | PS | JN | MJ | 感想 | |
1stステップ | “L”(#34) | 2 1/2回転戻し | “L”ワッシャー1枚(t=0.5mm) | “S”(#102 / #105) | 3000~6000良いがトゲトゲしい。7000~9000トルクの谷。10000~良い。 |
2ndステップ | “S”(#35) | 2 1/4回転戻し | “L”ワッシャー2枚(t=0.5mm×2) | “S”(#102 / #105) | 3000~6000あまり変わらず。7000~9000グッド。 |
3rdステップ | “RR”(#38) | 1 3/4回転戻し | “L”ワッシャー2枚(t=0.5mm×2) | “S”(#102 / #105) | 3000~6000ちょっと濃い。 |